『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』(村上春樹)を読みました。
美味しいウイスキーを飲んだ時、僕は
「このウイスキーの味を言葉にできたらなぁ」
と思う。
一方で村上春樹は
「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」
と思う。
今回は、小説家として著名な村上春樹さんの旅行記を紹介します。
内容
村上春樹さんがスコッチウイスキーの産地であるスコットランドのアイラ島とアイリッシュウイスキーの産地であるアイルランドに旅行に行った際のことをまとめた本です。
写真もたくさん掲載されていたので、最近Kindleで本を読むことの多い僕ですが、久しぶりに文庫本を購入しました。
アイラ島編
ウイスキー好きの方ならよく知っていらっしゃると思いますが、スコッチウイスキーも地域によってタイプが全然異なっていて、
・ハイランド
・ローランド
・スペイサイド
・アイラ
・キャンベルタウン
の6つがあります。(下2つはややマイナーかな)
今回村上春樹さんが訪れたのは、その中でも一際特徴的なアイラウイスキーの産地であるアイラ島です。
アイラウイスキーと言えば、アードベック、ラフロイグ、ボウモアといったウイスキーが人気ですね。
この本では、ボウモアとラフロイグの2つのウイスキーの蒸留所について触れられています。
彼いわく、
ボウモアは「古式豊かな」作り方、ラフロイグは「近代的な」作り方で全然違うタイプであるそうです。
ボウモアは
「俺が俺が」という、直接的な差し出がましさはそこにはない。ひとことで「これはこうだ」と言い切れるようなキャッチーな要素は希薄である。そのかわり、暖炉の火の前で、古く懐かしい手紙を読んでいるときのような静かな優しさ、懐かしさが潜んでいる。
文章でいえば、たとえばアーネスト・ヘミングウェイの初期の作品に見られるような切れ込みのある文体だ。華麗な文体ではないし、難しい言葉も使っていないが、真実のひとつの側面を確実に切り取っている。
とのこと。
普通、ウイスキーの味をこんな例え方できますか!!
ウイスキー飲んで、懐かしい手紙とかヘミングウェイとかいう言葉が出てきますか!!
この文章を読んで、もう村上春樹の言葉はウイスキーであると思いました。
アイラ飲みたくなってきました。
アイリッシュウイスキーで有名なのはジェイムソンとかタラモア・デューあたりでしょうか。
実は僕、恥ずかしながらあまりアイリッシュは飲んだことないんです...
これからいろいろと飲んでいきたいなぁと思っています。
さて、本題に戻ります。
アイルランドでも蒸留所を訪れたそうですが、あまり面白くなかったそうで全然言及されていません。人間味というものが感じられないからだそうです。
そのかわりに、この章ではパブで見かけた白髪の老人について書いています。
詳しくは是非本を読んでいただきたいですが、
その場に自分もいるような、
パブのざわつきやグラスを置く音が聞こえてくるような素敵な文章でした。
この本を読んだらもうアイラ島やアイルランドに行きたくてたまらなくなってしまうと思います。
今すぐ行くことはできないので、僕は今夜もウイスキーを飲むことにします。